やわらかなスポンジケーキに、真っ白な生クリームと真っ赤なイチゴでデコレーションしたショートケーキ。日本ではケーキの代名詞のような存在ですが、意外にも、欧米にはこのタイプのケーキは存在しません。ほかの国のショートケーキとは、いったいどんな作り方をしているものなのでしょうか?
日本のショートケーキ
日本のショートケーキにはスポンジが一般的です。丸く焼いたスポンジを横半分にカットして、間に生クリームとイチゴをはさみ、周囲を生クリームで覆って、上からイチゴをトッピング。作り方に多少のバリエーションはありますが、昔から変わることのない懐かしさを感じるコンビネーションです。
明治時代に日本でも食べられるようになったケーキ。大正時代には国内でも生クリームが生産されるようになりました。こうして徐々に日本に広まった欧米のケーキ文化が、いつしか日本式のショートケーキを生みだしたのです。
アメリカのショートケーキとは?
ショートケーキの「Short ショート」とは、サクッとした軽い食感を表す言葉です。そのため、英語圏の人々が「ショートケーキ」と聞いてイメージするのは、ふわふわのスポンジ生地ではなく、サクサクとしたクッキーのような生地なのです。
アメリカの代表的なショートケーキの作り方は、大きめサイズのクッキーやビスケットを用意することから始まります。あとは、ホイップクリームと刻んで砂糖をかけたイチゴをトッピングしたり、間に挟んだりするだけです。アメリカンコーヒーとの相性もよく、気軽に食べたくなります。
ヨーロッパのショートケーキは2種類!?
ヨーロッパには主に、イギリスなどのアングロサクソン系と、フランスなどのラテン系の食文化が存在します。ショートケーキにもやはり2つの作り方が存在するようです。
添えて出すのがイギリス風
ヨーロッパ、とくにイギリスあたりのショートケーキの作り方は、アメリカとほぼ同じです。しかし土台に使われるのはスコーンやショートブレッドのような生地。サクサクとした食感がさらに強調され、生クリームやイチゴはトッピングというより添えられているという感覚に近いです。
ヨーロッパでは焼き菓子やアイスクリームに、生クリームやフレッシュなフルーツを添えて食べる習慣があります。スコーンやショートブレッドは、もともとジャムやクロテッドクリームをつけて食べるものであるため、生クリームやイチゴが添えられるのも自然なことですね。
おしゃれなフランス風
日本に欧米のケーキが紹介され始めた当時、フランスのショートケーキとして紹介されたものに、「Derby short cakes」と呼ばれるケーキがあります。やわらかなスポンジの間にカラフルなバタークリームをはさんだケーキだったようです。
「short cakes」はフランス語ではないので、おそらくイギリス式のショートケーキがフランスでアレンジされたものでしょう。
やわらかな生地に、色のついたクリームで見た目も美しいフランス風のショートケーキ。欧米の新しい食文化になじみ始めた日本人にとって、憧れの対象だったのではないでしょうか。
世界で愛されるショートケーキ
生地の土台は国ごとに違いますが、生クリームとイチゴで魅せるスタイルに変わりはないようですね。シンプルで飽きの来ない組み合わせが、国をこえて長く愛される秘訣なのかもしれません。
日本のショートケーキだけでなく、アメリカやヨーロッパスタイルのショートケーキも、是非一度試してみてはいかがでしょうか?
参考: