夜空が澄み切って月がきれいに見える秋。お月見のシーズンがやってきました。日本では、旧暦の8月15日に満月を鑑賞する十五夜と、旧暦の9月に十三夜を鑑賞する2度のお月見があります。その由来とお月見に合わせて食べたいスイーツをピックアップしました。
お月見の風習
旧暦の8月15日に中秋の名月を鑑賞するお月見は、もともと農作物の収穫を感謝するための行事でした。稲作が普及する以前、芋類や豆類が主食だった頃は、収穫された里芋が供えられていたと言われています。そのため8月15日の十五夜は「芋名月」とも言われます。そののち、稲作の普及と共に米で作った団子が供えられるようになり、現在のお月見の風習へと続いているようです。団子の丸い形は月に似せて作ったとも言われますが、なかには里芋の形をしたやや細長い団子に餡をのせてお供えしている地域もあります。
月見団子の作り方
お月見の頃になると、和菓子店ではいっせいに月見団子が並びますが、簡単に手作りすることもできます。
上新粉150gと熱湯100㏄程度を用意し、混ぜ合わせて耳たぶくらいの固さになるまでよくこねます。これを棒状に伸ばして適度な大きさに切り、熱湯で3~4分茹でます。浮き上がってきたら冷水にとって冷やせば出来上がりです。お好みで生地に砂糖を加えるほか、醤油と砂糖を煮詰めて作ったみたらし餡をつけてもおいしくいただけます。
お月見に食べてみたいスイーツいろいろ
月餅
中国でも旧暦の8月15日は「中秋節」と言われるお月見の行事があります。このとき食べるのが月餅と言われるお菓子。月に見立てた丸くて平べったい皮の中に餡が入っている伝統菓子で、中秋節に合わせて知人同士で月餅を贈り合うという習慣があります。ずっしりと重く脂っこい、と敬遠されていた月餅ですが、近頃は日本の和菓子メーカーによって日本人好みにアレンジされたものが多く販売されています。中国茶と月餅で、いつもとは違ったお月見を楽しむのもいいかもしれませんね。
干菓子
お月見に合わせてぜひ食べてみたいのは、落雁などの干菓子です。水分の少ない乾燥した干菓子は、季節ごとの木型で型抜きをして作られる和菓子の一種。季節に合わせて色や形、味わいを変えて楽しみます。和三盆糖や粉砂糖などの厳選素材を使い、職人がひとつずつ手作業で作りだす干菓子は、細かなきめとさっぱりとした甘さ、ほろりとした口どけが特徴。まさに日本の和菓子ならではの繊細さです。お月見では、かわいらしい満月とウサギを模した干菓子をぜひいただきたいものです。
どら焼き
いつも見かけるどら焼きも、お月見の頃には、表面にウサギの焼印を押したものが限定販売されています。どら焼きを満月に見立てて、その中にウサギがいるイメージは、特に小さなお子様には大好評。中身には、月見団子を真似て餡とお餅がはいっているものなど、趣向を凝らしたものも登場しています。
二度のお月見を楽しむのは日本ならでは
中秋の名月を鑑賞するお月見の行事は、奈良から平安時代にかけて中国から伝わったとされています。それに加えて日本ではその翌月、「後の月」と言われる十三夜を鑑賞する独自の風習があります。ちょうど栗の収穫時期に当たったことから「栗名月」とも呼ばれます。片方の月だけを鑑賞するのは「片見月」といい、縁起が良くないと忌み嫌われていたことから、日本では古くから両方の月を楽しんできたと言われています。今年はぜひ、おいしいお菓子をお供に、日本の風習にならって、二度のお月見を楽しんでみてはいかがでしょうか?
参考: