日本の伝統と家族の絆を結ぶ。静かなブーム「茶婚式」に注目!

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最近「茶婚式」と呼ばれる婚礼の形が、若いカップルの間で静かなブームになっています。茶婚式とは、いわば茶道の結婚式。厳かな雰囲気の茶室で、日本の伝統を感じながら執り行われる茶婚式は、華やかにお披露目をするというよりも、お互いの心の絆を結ぶことに重きを置いた婚礼の儀式です。その内容や人気の秘密を詳しくリサーチしました。

茶婚式とは

茶婚式は、茶道の流派や地域によって、その作法は異なるようですが、中でも裏千家による「立礼(りゅうれい)」の作法に従って行われることが多いようです。「立礼」とは、明治時代初頭、正座が苦手な外国人もお茶をたしなめるようにと考案された、椅子とテーブルを用いてお点前(てまえ)をいただく作法です。茶室のレトロな空間で新郎新婦が濃茶を飲み交わし、両親族がそろって お茶をいただく茶婚式。従来の結婚式にはない、和やかな雰囲気があります。

茶の湯の精神とは

茶の湯の精神は「和敬清寂」と言われます。お互いを敬い、清らかな気持ちで一同に会してお茶をいただく、その心を説いています。また、茶事には機会一生に一度限りの事を大切にせよという「一期一会」を重んじる心得もあります。この「和」を重んじ、相手を思いやる茶の湯の心を、結婚し新たに家庭を築く新郎新婦への心得と重ね合わせて、お茶の席で夫婦の契りを交わす儀式としたのです。

茶婚式の進め方

10-21_middle_136758163茶婚式が実際にはどのように進められるのか、式進行の一例をご紹介しましょう。
両家の列席者が着座する茶室に、新郎新婦が入場し、一同が会するところから式が始まります。
初めに、茶人が立てる濃茶(こいちゃ)のお点前を新郎新婦がいただく「夫婦固めの儀」が行われます。二人で同じお茶を飲み交わして縁を結んだ後、新郎新婦が声を合わせて誓いの言葉を読み上げます。続いて薄茶のお点前を列席者全員で順にいただく「親族固めの儀」が行われます。茶婚式では、主に両家の親族のみが参列することが多く、同じ空間でお茶をいただくことによって、家と家との垣根を越えて、ひとつの家族になるという一体感が生まれます。この後指輪の交換があり、式は結びとなります。 途中、皆でかわいらしいお茶菓子をいただきながら歓談するケースもあり、厳かな中にも和やかな雰囲気の結婚式になっています。

茶婚式のすすめ

忘れられがちな日本の伝統文化の美しさを感じながら、皆でお茶をいただく様は、神道の三々九度とはまた違った、厳かで味わい深い瞬間です。茶婚式は、普段なかなか触れることのない茶道の世界を体験できるとして、新郎新婦のみならず、列席者からも好評のようです。
正座が苦手な方や足の悪い方のためには、椅子を用意してくれますし、事前に簡単な手順の説明もあります。作法を知らない方でも問題なく式に参列できるよう、式場スタッフのサポート体制も整っているようです。今まで知らなかった日本の伝統美を肌で感じる、またとない機会とも言えるでしょう。
また茶婚式ではその儀式とは別に、格式あるお茶室を使用できたり、見事な庭園を望めたりという楽しみもあります。和装が一段と映える空間なのはもちろんですが、レトロな雰囲気の茶室は、ウェディングドレスを着たい新婦にとっても、おしゃれな撮影場所として人気があります。儀式と共に場を楽しめることも、若いカップルの人気の理由なのかもしれません。

結婚式のひとつの形として

日本の伝統文化に触れることの少なくなった現代の私たちにとって、茶婚式は、日本の良さを感じながら、家族の絆を深められる貴重な体験です。最近では、多くのホテルや結婚式場でも注目され、特集が組まれたり数多くのプランが取り揃えられたりするようになりました。
結婚式のひとつのスタイルとして徐々に定着しつつある茶婚式。新郎新婦、そして列席者の心に残る婚礼の形として、これからもますますブームが広まっていく予感がします。

参考: