少しイライラした時、甘いものを食べるとスーッと気分が落ち着く。疲れが溜まるとケーキやお菓子が無性に食べたくなる。そんな経験はありませんか?
そんな症状は、すべて体内の血糖値低下がもたらしているのだそう。甘いものを食べることによって、血糖値が上昇し、精神安定をもたらすセロトニンが分泌され、その結果、心が落ち着くことを人間は知っているのです。
世界の砂糖消費量
まずは、世界の砂糖消費量を比較してみます。
国際連合食糧農業機関の2006年の調査では、砂糖の消費量が多い国は、なんとブラジル。次いでニュージーランドやベルギーが入ります。
ブラジルは、砂糖の生産量も世界随一。世界的な輸出品としても知られていますが、サトウキビを蒸留したお酒を好んだり、お酒そのものに砂糖を入れたりする文化があり、甘いお菓子を食べる文化とは少し違うのかもしれません。
原因は量り売りのキャンディ
では、砂糖を含むお菓子を好むのは、どこの国なのでしょうか。
それは、スウェーデンだそうです。
スウェーデン人の一人当たりの砂糖菓子の年間平均消費量は17㎏で、これはほかのEU諸国の2倍ともなる量です。
その原因となっているのが、1984年にスウェーデンの菓子会社が始めたグミやキャンディの量り売り。
色とりどりの、グミやキャンディを好きなだけ袋や箱に詰めて売るスタイルが、スウェーデンの人々の心を掴み、現在では多くのスーパーなどで、売られているほか、お土産としても人気があるそうです。
また、マジパンを使ったケーキや、フルーツのタルトなども人気が高く、砂糖消費量に拍車をかけていると言えそうです。
砂糖は太る?太らない?
こうなると、気になってくるのが肥満との関連性です。そんなに甘いものを食べていて、肥満が問題にならないのか。
その答えは、もちろん、肥満に繋がります。
実際に、国民の肥満問題に頭を悩ませたスウェーデン政府は肥満予防策として現在砂糖税の導入を検討し始めています。
「甘いものを食べて、税金がとられるなんて」と思う方もいるかも知れませんが、すでにデンマークなどでは砂糖税は施行されていて、スウェーデンだけでなく、アメリカなど複数の国で導入が検討されています。
砂糖税の導入を訴える研究者によれば、「砂糖は世界的な健康危機をもたらしている主犯格」「過剰摂取による毒性と依存性は、酒やたばこと同じ」とし、その摂取に制限を設けようとしています。
一方で、食品100キロカロリーに相当する砂糖の量は、砂糖26gであるのに対し、食パンだと38g、ドーナツ23gであるという研究結果もあり砂糖だけが肥満の原因ではないという意見も多くあります。
アジアの砂糖事情
日本を含むアジアの砂糖使用状況はどのようなものでしょうか。アジア全体では、欧米などに比べると砂糖を多く消費する国は少なく、タイやマレーシアなどが少し多い程度です。
タイやマレーシアは、甘い飲み物を好む習慣があり、そのために砂糖の消費量が多いのではないかという研究結果もあるようです。
日本の大手飲料メーカーが、現地でペットボトル入りのお茶を販売した際には、甘みをつけたものでないと全く売れなかったという話も残っていますし、屋台などで売られている飲料でも甘いものが多い印象です。
日本は、砂糖使用量、砂糖菓子消費量ともにトップ10圏外と、早急に対策をとる必要はなさそうです。
それでも近年は、ドーナツにパンケーキ、ポップコーンと欧米のスイーツが日本にどんどん進出してきています。欧米に比べると「控えめな甘さ」を好むとされる日本人ですが、このまま欧米化が進めば、それも失われていくのかもしれません。
甘いものは、精神的安定をもたらし私たちを幸せな気持ちにしてくれる素敵な食べ物です。
しかし、気が付けば政府が砂糖税の導入を検討しているなどという事態にならないよう適度に楽しみたいものですね。
参考: