年輪型をしたバウムクーヘン。子どものころ、その木の皮のような生地を1枚1枚はがして食べていた覚えがあるという方も多いのではないでしょうか?
本場、ドイツの喫茶店では、その年輪の真上から、表面だけを斜めにスライスするようにカットして出すのが一般的のよう。
バウムクーヘンの正しい食べ方を知って、お茶の時間をもっと楽しく美味しくしましょう!
バウムクーヘンは、なぜ年輪型なの?
ドイツ語で「バウム」は樹木や木の皮を、「クーヘン」はケーキを意味するので、バウムクーヘンは「木のケーキ」ということになります。
もともとは薪の窯に太い棒をかざし、その周辺にケーキの生地を回しかけながら焼きました。表面がこんがり焼き上がったら、さらに生地を塗る……この繰り返しで年輪模様ができるのです。
現在はほとんどの店で電気オーブンを使いますが、基本的な製法は変わりません。そのため、バウムクーヘンの中央には穴が開いているのです。
バウムクーヘンの正しい切り方
日本では高さのないバウムクーヘンが一般的なため、普通のホールケーキをカットするときのように、ナイフを真上から垂直に入れます。しかし本場ドイツでは、長い棒の周りに焼き付けられるので、バウムクーヘンに高さが出ます。日本と同じように切るときは、それを適当な高さになるように輪切りにしてからカットします。
しかし、しっとりした生地の美味しさを長く楽しむなら長いまま保存するのが一番です。喫茶店などで提供するときは、年輪の真上から、表面だけを斜めにスライスするようにカットして出すのが一般的です。
ナイフを斜めに入れることで、生地が崩れにくく、年輪の層が美しく残り見映えも良くなります。
バウムクーヘンの正しい食べ方
薄く切られたバウムクーヘンは、何枚かお皿に乗せられ、そこへ生クリームやアイスクリームが添えられます。
季節のフレッシュなフルーツやコンポートが一緒のときもあれば、ブランデーが添えられることも。フルーツの甘酸っぱさやみずみずしさは、バウムクーヘンにとても良く合います。また、ブランデーにひたして、さらにしっとりさせてからいただくバームクーヘンは大人の味わいです。
バウムクーヘンは焼くのに手間がかかるため、なかなか家庭で作られることはありません。このような食べ方は、ドイツの喫茶店独特のものといってよいでしょう。
なぜ正しい切り方や食べ方があるの?
バウムクーヘンは、卵、粉、砂糖に、バターをたっぷりと使って作られます。そのしっかりとした生地の美味しさが持ち味です。
そのため、この重みのある生地をもっともおいしく味わえるのが、この“そぎ切り”スタイルなのです。
ポーランドにも同じような年輪型のケーキがありますが、やはりドイツのように薄くカットして食べます。おいしく食べるための食感や味わいを考えると行きつくのが、万国共通でこのスタイルとなるようです。
年輪の形もそれぞれ。実は奥が深いバウムクーヘン
バウムクーヘンは職人によって味だけでなく、年輪にも違いが出ます。
焼くときに、周りについた生地をはけで均一にならす、そのまま重力に任せる、などの手法によって変わってくるのです。
重力に任せたままだと、年輪は均一にならず、上から見ると膨らむところも出てきます。これがバウムクーヘンの自然な「年輪」らしさを、さらに際立たせます。
バウムクーヘンはシンプルな生地でできた焼き菓子です。
口に入れたとき、ほろりと崩れる生地の繊細さを楽しむためにも、このドイツの正しい食べ方を真似してみてはいかがでしょうか?
いつものバウムクーヘンが、ひと味もふた味も違って感じられるかもしれません。
参考: